親子のこれから.com

老後の生活・趣味・悩み・終活、子どもが出来る親孝行・見守りを考える

親が介護施設に入居、そのとき扶養控除は受けられる?

親が介護施設に入居したとき、毎月かかっている利用料や医療費、税金など、少しでも負担を軽減する制度はあるのでしょうか。

 

健康なうちに財産整理をして高額な老人ホームに入る方もいらっしゃいますが、そういう方は一握りだと思います。
それ以外の方は、「配偶者が亡くなった」「介護度が上がって家族で面倒を見ることが難しくなった」等のやむを得ない理由で介護施設の入居を決めるケースが多いでしょう。

 

ご本人が財産を管理することができなくなったときは子供やその他家族が本人に代わってお金のことを任されることになります。

 

 f:id:TRACY:20200406224528j:plain

 

特に特養の入居者は重度の方がほとんどなので、お金の管理や様々な行政の手続きは家族がすることになってきますね。

 

どうしても毎月の利用料に目が行きがちですが、「扶養家族の税金」や「医療費控除のしくみ」など、お金の知識を得て、貰えるものはきちんともらっておく、控除できるものはしっかり手続きを取って控除してもらう、ということが大切です。



 

 


⭐扶養控除とは

 

配偶者以外の親族を養っている場合は、扶養控除といって、所得の控除が受けられます。

対象となるのは、生計を1つにしていて、なおかつ年間の合計所得が38万円以下(給与のみの場合は給与収入103万円以下)である16歳以上の親族です。

 

この控除額は一般的には扶養対象1人あたりにつき38万円となっていますが、扶養対象が70歳以上の場合48万円、さらに同居している場合は58万円と、通常より多くの控除を受けることができます。

 




老人(70歳以上)扶養親族

 

・同居老親等(同居している場合)       →58万円

・同居老親等以外の者(同居していない場合)→48万円

(出典:国税庁 2019年6月25日時点)

 

 f:id:TRACY:20200406224551j:plain

 

 

⭐別居していても扶養控除を受けられる

 

扶養控除は、扶養対象となる親族の方と同じところに住んでいなくても、生計を1つにさえしていれば、控除を受けることができます。


扶養控除の条件の一つである「生計を1つにしている」という状況には、実は明確な基準がなく、扶養対象の親族に対して、社会生活を送ることができる額の生活費や医療費の仕送りなどをしている事実が認められれば控除を受けることができるのです。

 

親が介護施設に入居した場合は、その費用を継続して支払っているなど、生計を1つにしていることが状況から確認できれば、同じように扶養控除を受けることができます。

ただし、その場合は同居とは認められず、控除額が低くなりますので注意が必要です。

 

生活費を仕送りする場合はその事実を記録として残しておいた方が良いのでできれば手渡しなどではなく、毎月だいたい決まった日に振込みをして記帳しておきましょう。

 

 

⭐控除を受けるに当たって気を付けなければならないこと

 

扶養家族と見なされるためには生計が1つであることが条件です。

具体的には、介護施設の利用料やその他の生活費の一部または全部を子供が担っているか?ということ。一方で親の年金で特養に費用やその他生活費をすべて賄えるのであれば、扶養家族から外れることになります。

子供が親の介護施設などの利用料など支払った領収書はきちんと取っておくこと。

口座引き落としにする項目もあるかと思いますので、その部分も記帳して後々子供が支払ったことが証明できるようにしましょう。

 

 

⭐親を扶養家族にするに当たっての【子供側】のメリットは?

 

親を扶養することによる、子供にとっての金銭的なメリットは、老人扶養控除を受けられ子供の税金が減ることです。親を扶養していると、親にかかってくる医療費の控除も子供が受けられます。子供世帯の医療費に親にかかった医療費も合算して計算できますので、かかった金額にもよりますが税金が戻ってくる確率が高くなります。

 
f:id:TRACY:20200406224608j:plain
 

⭐親を扶養家族にするに当たっての【親側】のメリットは?

 

親が子供に扶養してもらう金銭的なメリットは、75歳未満の親の場合は、公的医療保険や介護保険の保険料負担がなくなります。

 

 

 

⭐その他の控除

 

医療費控除

 

介護施設などの利用料の中には、医療費控除対象になる支払いがあります。

医療費控除とは、その年の1月から12月までの1年間にかかった医療費が一定の金額を超えたとき、税金が安くなるというものです。医療費控除は税金を支払っている方が受けられる恩恵となります。

具体的に

・公的年金や私的年金で収入を得ている方
・賃貸アパートを所有して賃料収入を得ている方

 

上記に該当する方が控除を受けられます。


公的年金による収入は「雑所得」となり、支給額によっては税金がかかります。また、公的年金以外にも民間の保険会社から支給される年金や賃貸アパートを所有していることによる家賃収入など、公的年金収入以外にも収入のある方もいるでしょう。これらの収入に対しても税金がかかるので医療費控除が受けられます。

 

一方で年金が少なく課税されていない、遺族年金など非課税で年金を受給している方は、税金を支払っていませんので医療費控除の恩恵を受けることはできません。

 


施設の利用料金の中で医療費控除の対象となるものは?

 

介護施設サービスの対価(介護費、食費及び居住費)として、支払った額の2分の1に相当する金額が、医療費控除の対象となります。また施設で行われる訪問診療(内科、歯科など)の医療費、処方される薬代も医療費控除の対象になります。医療費控除の対象となる支払い分は、施設利用料の領収書に記載されています。

 

他に施設外部の病院への通院にかかる医療費と薬代、交通費(体が不自由でタクシーによる通院が必須の場合は、タクシー代や付き添いの方の交通費)も医療費控除の対象となりますので医療費と合算して計算することが可能です。

 

医療費控除が受けられる条件は?

 

医療費控除による税金の還付は、一定金額以上の医療費がかかった場合に受けることが可能です。

その【一定以上の金額】とは、年間収入が200万円未満の場合、医療費自己負担額が5%を超える部分(例えば、年間収入が180万円の場合は医療費自己負担9万円を超える部分)が医療費控除額となり所得から差し引かれます。

年間収入が200万円以上の方は、医療費自己負担年間10万円を超えた部分が医療費控除額となります。

つまり年間収入が200万円以上の人の場合、一年間にかかった医療費、薬代、交通費の合算が15万円だとすると10万円を越えた額の5万円が所得から差し引かれます。

 

 

 

 

⭐まとめ

 

 

生計を共にしている、ということであれば扶養控除は受けない理由はありません。

 

介護とは手厚くしてあげようと思えば思うほど人手もいりますしお金もかかってきます。

 

確定申告など、煩雑な事務処理をしなければならないことも多いのですが控除を受けて少しでも負担を軽くしましょう。

 

生計を共にする場合、親の預貯金の管理なども子供世代がしなくてはならなくなります。

認知症などになる前にしっかりと話し合いをして、今後の計画を立てておくと良いかもしれません。

 

くれぐれも親に代わって親の預貯金で様々な支払いなどをするときは必ず領収書をとっておくようにしましょう。