老後の趣味は何故大切なの?生きがいって何?を考えてみよう
あなたの趣味はなんですか?
即答できる人は意外と少ないと思います。
趣味は老後の生活を豊かにする大切な要素です。
今回は生きがいとなる老後の趣味のあれこれについて考えてみます。
1. 何故、趣味が大切なのか
そもそもなんで趣味が大切なのかを考えていきます。
看護の世界に携わる人はみんな教わる、マズローの欲求五段階説というものがあります。
彼は人間の自己実現を研究して、1943年の論文「人間の動機づけに関する理論」人間の欲求の階層(マズローの欲求のピラミッド)を考えました。
1 生理的欲求…生命維持に関わるもの
2 安全の欲求…生命や身体、生活などの安全性、経済的安定性、安心など
3 所属と愛の欲求…どこかに所属したい、愛し愛されたい
4 承認の欲求…認められたい、他者から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める
5 自己実現の欲求…自分の持つ能力や可能性を最大限発揮する、何かを成し遂げたい、自分の存在意義を確かなものにしたい
マズローの理論では、1が満たされると2が出てくるというような、段階的なものと考えられています。
趣味を持つことは、3から5の段階を満たすことが出来る=人生を豊かにする素晴らしいことなのです。
2.所属と愛の欲求を満たすには
孤独は老後の生活の満足度を低下させます。
定年を迎えるまでは、多くの人は会社という組織に属します。
自分の居場所があるわけですね。
退職後はそれが無くなってしまい、時間を持て余し、何をしていいのか分からなくなったというお話をよく聞きます。
誰かと話すといえばお店の店員さんだけ…なんて生活にもなりかねません。
そんな時はどうしたらいいか、というと…
1.仲間をつくろう
趣味のサークルやボランティア、講座、教室に参加することで、新しい自分の居場所が出来ます。
老人会、町内会、パソコン教室、コーラス、演劇、料理、落語、囲碁、将棋、麻雀、絵画、ボランティア、スマホ教室、英会話、音楽、カラオケ、ヨガ、太極拳、ダンス…
行政施設に行くとよくサークルや講座などのチラシがありますし、また毎月配布される◯◯市だよりみたいなものに掲載されてることもあります。
自分が気になったものに参加してみる、合わなかったら辞めたらいいし、合うものがあったとして、毎回必ず参加しなくてもいいのです。
あくまで趣味ですから、負担にならない程度で楽しみましょう。
2.動植物から愛を受け取る
愛し愛されること、は何も恋愛のことばかりではありません。
動物は無償の愛を感じさせてくれる存在です。
お世話をするのは少々手間がかかりますが、彼らがむけてくれる信頼や愛情は他の何にも変えがたいものがあります。
今から飼うのはちょっと心配という方は、猫や犬の保護ボランティアの手伝いなども良いですね。
植物を育てる、家庭菜園をつくる、押し花、ドライフラワー、ハーバリウムなどを作成するのもおススメです。
手間暇と愛情をかけて育て、収穫する喜び、花々の美しさ、鮮やかな緑の眩しさ、大きな達成感に繋がりますよね。
季節感を感じることで、生活にメリハリがつき1日1日を大切に生きることが出来ます。
3.承認欲求を満たすには
孫を預かる、子供会の行事に参加する、学校関連のボランティア、子育てに悩むお母さん達の相談相手になる、など良いと思います。
今、核家族が多いので、孤独に子育てをしているお母さん達はたくさんいます。
話しをきく、自分の体験を話すことで誰かの役に立てたら、老後に下がりがちな自己効力感も高まりますね。
また、子どもの生き生きとした生命力、創造力、発想力は忘れてしまっていた視点を思い出させてくれます。
退職して社会との関わりが減ってくると「ありがとう」と言われることも言うことも減ってしまいます。
自分が社会の役に立ってるという実感もなかなか得にくいです。
自分の経験や体験を活かせて、それを次世代を担う子どもたちに伝えることが出来るなんて、とても素敵なことですよね。
4.自己実現を考える
老後は人生の集大成の時です。
現代では平均寿命も長く、一昔前の同じ年齢よりも実質的に若々しく闊達な方々が大勢いらっしゃいます。
何かを成し遂げた証を残したい、自分がこれまで培ってきた能力や持てる能力、まだまだ広がる可能性を最大限発揮したい、自分が何故生まれてきて何をする為に存在するのかその意義を確かなものにしたい、という気持ちが若さの秘訣ではないでしょうか。
患者さんと接していて、お元気だなと感じる高齢の方々に共通して感じるのは、
生きがい=生きる+甲斐=生きる価値や喜びを見出し、自己を実現していく、つまり、自分が思う自分らしさを発揮して、いくつになっても自分のやりたいことを実現していく、そうしたいと強く願う気持ちを持ち続けていらっしゃるということです。
年齢を重ねれば、身体に不調も増え、疾患を抱えることもありますが、積み重ねてきた知性や経験は誰にも真似できない個性です。
是非、時間が自由になる老後の生活の中で、個性を発揮できる趣味を見つけて、人生の集大成の時を心豊かに過ごして欲しいと思います。
5. まとめ
QOL、クオリティオブライフという言葉をどこかで聞いたことがある方も多いと思います。
医療の世界では、もう標語かなというぐらい使われてる言葉です。
人生の質、生活の質、と訳されることが多いです。
高齢社会で長くなっている人生、老後をただ生きるよりも、より良く生きる、幸福に、満足して生きるために是非趣味を持ってください。
趣味を持っていることはそれだけで素敵なことですが、それを通じて仲間が出来たら、もっと素敵ですよね。
趣味は特別なものじゃなくても、自分が楽しめれば何でもいいと思います。
部屋の掃除だって、孫の世話だって、料理、洗濯、アイロンがけなどの家事も工夫して楽しめればになれば立派な趣味ですよね。
サークルやボランティアを始めて、面倒になったら辞めてもいいし、楽しかったら続けてもいい。
1つ目がダメでも2つ目は楽しいかもしれない。
責任とか努力とかは全部手放して、自分が楽しむ!が老後の幸せ生活の一歩です。
今まで充分すぎるくらい頑張ってきたから今があるんです。
老後の生きがいになる趣味を見つけて、是非イキイキ闊達な高齢者の仲間入りをしましょう!