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親の介護費用はいくらかかる?それは誰が支払うべき?

皆さんは親が将来、介護が必要になったときに一体どのくらいの費用がかかるのか心配になったことはありませんか?

 

少し前まで、介護が必要になってから亡くなるまで の在宅介護費用は最低でも総額300万円はかかる、と言われていました。

 

すべての高齢者が介護が必要になるわけではありませんが病気や怪我などがきっかけとなり体力が衰え、人の手を借りなければ生活できなくなることもあるかもしれません。

 

突然介護生活になり、金銭的なことや介護保険の仕組みなど何も知らないままだと不安に駆られるだけで何も事が進みません。

今からある程度の予測をたて親の介護の時が来たら、今までお世話になった大切な親のために手厚いケアをしてあげられるとよいですね。

 

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⭐介護保険の負担割合

 

介護サービスを利用した場合は費用の1割~3割を負担することになっています。

実際、どの程度のお金がかかるのでしょうか。

介護保険がスタートした頃は利用者はその1割を負担することになっていましたが、2015年8月より一定収入以上の方は介護費用の2割を負担することになり、2段階に分けられました。

この一定収入とは

・介護を受ける本人の合計所得金額が160万円以上

・同世帯にいる65歳以上の人の年金収入+その他の合計所得金額が単身世帯の場合340万以上、2人世帯の場合463万以上

のことで、両方に該当する方は2割負担となります。

 

加えて2018年8月からは収入により3割の負担も設定され3段階に分けられることになり、

・介護を受ける本人の合計所得金額が220万円以上

・同じ世帯にいる65歳以上の人の年金収入+その他の合計所得金額が単身世帯の場合340円以上、2人以上世帯の場合463万円以上

 

両方に該当する方は3割の負担となります。

 

 

 

収入によって負担する額が段階的になっているのはある意味当然のことですが、例えば1つ2万円のシャワーチェアー1つ購入すると、1割負担の方は2千円、2割負担の方は4千円、3割負担の方は6千円となりますので、3割の方の負担はかなり大きくなってきますね。

 

介護認定を受けた方は「介護保険負担割合証」が発行され負担の割合が印字されていますのでそれを見せてサービスを受けてください。

 

 

⭐介護費用は誰が支払うべき?

 

身体の状態や子が同居か別居か、本人の収入などによっても異なりますが、亡くなるまでの介護総額は300万円という試算もあります。


そのお金は年金から払えるのか、誰が出すのが一番よいのでしょうか。

まずは介護費用といっても具体的にどのようなものを指すのか見ていきましょう。

 

 

介護にかかるお金

 

 

介護にかかるお金は大きく分けて2つあります。

 

①保険対象内外のサービス利用料

 

病気などによって介護が必要になり、「要介護認定」を受けると、「介護保険」を利用できます。

介護保険で利用できるサービスの内容や、受けられるサービスの上限は、要介護度によって異なります。

 

身体の状態や本人の生活のレベル、家族の関わり方によっては、「介護保険で受けられるサービスだけでは足りない」というケースもあり、その場合は、介護保険以外の民間のサービスを利用するという選択肢もあります。

 

介護保険以外のサービスには、自治体や民間企業による配食サービス、家事支援、外出支援、訪問理美容サービスなど、さまざまなものがあります。

 

②遠方に住む家族の交通費、宿泊費


また別居する家族が介護のために定期的に帰省する場合には、帰省のための交通費、家に宿泊できない事情などがある方は別途宿泊費もかかります。


都心で暮らす人が地方の実家に帰省するとなると、かなりの交通費がかかることも考えられます。

しかし、航空会社の中には介護のために帰省する人向けに航空運賃の割引サービスをしていることがあるので要チェックですね。

 

《JAL 介護割引》

 

https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/fare/rule/r_kaigo.html

 

《ANA 介護割引》

 

https://www.ana.co.jp/ja/jp/book-plan/fare/domestic/guide/detail/kt.html

 


路線や時期によっても異なりますが、通常料金の約2~3割引で利用できます。

 

その他の交通機関には介護向けの割引はありませんが、新幹線などを利用する場合は金券ショップで割安なチケットを探す、回数券を利用するなどの節約方法もあります。

 

 

費用の目安

 

それではここでどのような状況だといくらぐらいかかるのか見ていきましょう。

 

・軽度の認知症で要介護2と認定の方の利用例。
地方の一戸建てに一人暮らし、都心で働く子供が遠隔介護。介護費用負担割合→1割

 

 

独り暮らしな上に軽度の認知症なので毎日午前中と夕方、訪問介護や生活援助を受けているほか、週2回はデイケアを利用するなど、介護保険のサービスを積極的に利用している場合

 

1ヶ月の自己負担額は以下のようになります。

 

 

訪問介護 週2回(1回約1時間のサービスとすると)×4週=8回
→4,384円
生活援助 週14回(午前午後1回ずつ、1回につき45分以内として)×4週=56回
→11,200円
通所介護(デイサービス)    月8回
→6,504円
通院等乗降介助(月2回)
→436円

 

自己負担額
計2万2,524円
となります。

 

このほか、月に2回、通院の際の病院内での付き添いと、帰りにスーパーでの買い物に付き合ってもらうサービスなどを民間でお願いするとなると1時間辺り1,800円~と考えて通院1日につき3時間とみなすと5,400円。1ヶ月で10,800円。

 

先程の22,524円と合わせると33,324円となります。

つまり1ヶ月にかかる介護費用のトータルがこの金額です。

 

 


・脳梗塞で倒れて右半身麻痺と軽度の言語障害が残り、要介護3と認定された方の場合の利用例(利用者負担1割の場合)

 

訪問看護(月5回 1回につき1時間として)
→8,256円

訪問介護(週7日、1日に3回1時間利用)
→23,016円

デイケア(月12回)
→12,012円

通所介護(月8回)
→7,544円

 


自己負担額
計5万828円

利用者負担の上限額が設定されていて44,400円を越える場合は申請により越えた分が高額介護サービス費としてあとから支給されます。

 

しかし、主な在宅サービスでは要介護状態区分に応じて支給限度額が決められていて、それを越えた分は全額利用者の負担となります。

 

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このほか介護を受け始めたときには、介護保険を利用してポータブルトイレ2,000円(1割自己負担分)、シャワーチェア2,000円(同)、玄関までの手摺設置工事6,000円(同)、その他住まいの段差解消のための改修を行い、費用の1割として2万円を負担、総額で3万円かかっています。

 

これらは1割負担で計算してありますので、人によってはこの2倍、3倍の金額がかかり、その金額によってそれぞれ支給限度を越えた分は全額自己負担となります。

 

自治体に介護保険のしおり等がありますのでそちらで詳細は確認してみましょう。

 

 

費用を支払うべき人

 

さて、ではこれらの支払いを誰が負担するのが一番よいのでしょうか。

お金をあり余るほど持っているなら負担してあげたいものですが、子供たちもそれぞれの生活があります。

家庭を持っているなら子供の教育資金も必要ですし、配偶者への遠慮もあることでしょう。

独り身だとしても自身の将来のことを考えると親のために自分の生活を犠牲にしてしまっては本末転倒、親の望むところではないと思います。

一番よいと考えられるのはやはり親の預貯金から使用していくのが揉め事も起こらず一番よい方法なのではないでしょうか。

万が一、親が亡くなったとき一定額の相続額が残っていると相続税を支払わなくてはならないこともありますので、親の貯金から使っていくことがベストな道だと思います。

もし、預貯金があまりない親御さんであれば優先的に親子さんの預貯金から使うことにして足りない分、もしくはある一部分にかかる費用を子供がもってあげることもよいと思います。

親の預貯金が近い将来すっからかんになってしまうようだというのなら、それもまた親御さんの切実な問題となり大きなストレスになると思いますのでそういった気持ちの面での配慮をしながら兄弟などとも話し合ってみましょう。

親の代わりに子供が預貯金を預かって支払うような場合も出てくると思いますが、必ず領収書類は取っておいてくださいね。相続が発生したときに必要となってきます。

 

 

⭐まとめ

 

厚生労働省の調査によると、1カ月あたりの平均介護費用・平均医療費用は、約57,000円という調査結果があります。
これは医療費を含むデータで、要介護になると、医療費も同時にかかることが多いので、要介護になった場合の負担を考える際の目安になりそうですね。


生命保険文化センターの調査によると、介護期間の平均は4年9カ月ほどだと言われているので、約5万7000円×4年9カ月で計算すると額は326万円。
金額も期間もあくまで平均値ですが、300万円程度をひとつの「目安」として考えておけばよいと思います。

 

離れて暮らしていると、自分が直接面倒を見てあげられない分、お金で解決しなければならないことが多くなります。

それに加えて時々様子を見に帰るとその交通費、宿泊費、などがかかりますので実際は300万よりも多く見積もっておくことをおすすめします。

 

会社勤めの方なら介護休暇を取ることもできますし、先に記したように航空運賃なら介護帰省割引があるので上手に利用していきましょう。

 

介護は終わりが見えないものですし、そしてその終わりを少しでも後延ばしにしたいものです。

最初からあまりあれもこれもと張り切りすぎず、状態を見ながら少しずつサービスを追加していくとよいですね。