親が認知症にならないように私たちにできる予防策とは?
師走に入り、目も回るようなお忙しい日々をお過ごしの方も多くいらっしゃると思います。
ご自分の体にムチを打ってお仕事や子育て、
親の介護などをされている方……本当にお疲れ様です。
私は日々の生活でやらなければならないことが自分のキャパシティを越えると、うっかりミスというとりあえず言い訳になる?ミスを通り越し、すっかり忘れてた!記憶にすらない!ということが多くなります。
親の世代ならまだしも50代という年齢はまだ認知症には少し早いですよね?
でもこれって本当に単なる物忘れなの?と思うことも多々あります。
さて、今日は私にはまだほんの少しですが早いので、親の認知症予防について書いていきたいと思います。
⭐認知症の種類
認知症にも何種類かの型があります。
患者数の多い順に説明していきましょう。
1.アルツハイマー型認知症
認知症の中でも一番患者数が多いのがアルツハイマー型。全体の半数以上だとも言われています。
脳にアミロイドβやタウタンパクというたんぱく質が異常にたまり、脳細胞の損傷や神経伝達物質が減少します。これにより脳全体が萎縮して引き起こされると考えられています。
主な症状は個人差もありますが、物忘れなどの記憶障害、時間や場所などの認識が低下する見当識障害、計画を立てる・こなすが困難になる実行機能障害です。
2.レビー小体型認知症
アルツハイマー型認知症に次いで多いとされているのがレビー小体型認知症です。レビー小体という特殊なたんぱく質が脳内に生じることで脳神経細胞が破壊され、それに伴い発症するのがレビー小体型認知症です。
他の認知症と同様の症状の他にパーキンソン症状(手足の震えなど)や幻視、自律神経症状、薬剤への過敏症などが見受けられます。
3.脳血管性認知症
脳卒中による、脳の血管の詰まりや破れから生じる病気を脳血管障害といいます。これにより脳細胞が死滅することで発症する認知症を、脳血管性認知症と呼んでいます。
他の認知症と同様に記憶障害や見当識障害などがみられますが、脳細胞の損傷によって身体麻痺や言語障害を伴うことも。
また、症状に対して本人の自覚も強く抑うつや、感情のコントロールができないため投げやりな態度になりやすいといったこともあります。
4.前頭側頭型認知症(ピック病)
原因はよくわかっていないようですが、脳のなかの前頭葉と側頭葉の神経細胞が少しずつ壊れていくことによって、いろいろな症状が出てくる認知症だと言われています。
この認知症の特徴は初めに現れる症状が物忘れではなく、他人に配慮することができないとか、周りの状況にかかわらず自分が思った通り行動してしまう、といった性格変化や行動異常だということです。
そのため、単に性格が変わっただけと思われて、病気の発見が遅れがちになります。
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⭐認知症を予防するためには
1.生活習慣病の予防・治療
アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症は、糖尿病や脳血管障害など生活習慣から引き起こされる病気との関連が強いと言われています。よって、それらの予防や治療は、確実に間接的な認知症予防となりえます。
すでに生活習慣病にかかられている場合はきちんと治療を受け、そうでない場合は定期健診を受けて、生活習慣病の予防に励みましょう。
2.食生活
①低糖質・低塩分を控えよう
糖尿病患者ではアルツハイマー型認知症と、脳血管性認知症の、いずれも発症率の上昇が報告されています。
高塩分は高血圧を引き起こし、高血圧は動脈硬化を引き起こします。そして脳血管性認知症のリスクを高めることになるのです。
つまり、これらの原因となる糖質・塩分を控えめにしておくことが、間接的に認知症を予防することになります。
②偏らない食事を心がけよう
緑茶やワイン、ココナッツオイルなど、特定の食物が認知症の予防によいといわれることがあります。
最新の認知症予防の情報に気を配りながらも、それらの食物を過剰に摂り続け食生活が偏ってしまうことは好ましくありません。
なぜなら、その食品による既知や未知のリスクを引き出し、結果として体調に意図しない影響をもたらすことがあるかも知れないからです。
例えば、緑茶も摂り過ぎればカフェインの過剰摂取により睡眠の質の低下をもたらすことが考えられます。
ワインも飲みすぎればアルコール依存症の危険も。
リスクを避けるためにも特定の食品、極端な食事法にこだわらず、多くのものをバランスよく摂取することを心がけましょう。
③低たんぱく・低栄養に注意しよう
肉や魚などを摂らない低たんぱくや、各種の栄養素をバランスよく摂らない低栄養は、認知症を含めた多くの疾患の引き金となります。
主婦の方に多い、一見1日3食食事をしているように見える食生活でもご飯、めん類やパンのみなど主食がほとんどを占めている食生活では、実質、低たんぱく、低栄養の状態にあることも少なくありません。
3.運動する
生活習慣病予防としても運動や食事療法はとても大切ですが、そもそも【体を動かす】というのは脳が機能して隅々にまで司令を出しているから。
つまり、【体を動かす】ことで脳を刺激しているのです。
高齢者に認知症が多い理由は、加齢による腰や関節などの運動器の疾患によって痛みや動きの制限があると、若い人と違って生活の幅が狭くなりがちです。
認知症になった場合、症状が急激に進行してしまうことがあると言われています。
運動の習慣を身につけ、きちんと栄養を摂って筋肉づくりをするなど、体のメンテナンスを行いましょう。
高齢者の場合、運動と言ってもランニングをするとか心臓に負担がかかるようなスポーツのことではなく、健全な日常生活をおくる上で必要な最低限の動き+αで、筋力を衰えさせることなく維持でき、全身の血行をよくするためのものを言います。
たとえば散歩や趣味の楽器を弾く、料理や手芸を楽しむ、庭仕事をする、といったことが含まれます。
病気や加齢による運動量の減少によって筋肉は少しずつ衰えて行きますが、一度落ちた筋肉を取り戻すことは高齢者にとっては大変なことです。
今ある筋肉を落とさないよう気を配りましょう。
4.達成感を味わう
どんなに優れた予防法でも、認知症予防というのはあくまでも予防を期待する、という程度のものです。
日常生活で脳が活性化されるためには目標を持って、生き生きとした生活を維持する必要があります。
認知症を予防するための自身の取り組みを作品にして残してみたり、日常生活の記録を取ったり、これまでの努力が目で見えるような工夫があると日々の生活の励みになりますよね。
5.他人と交流する
人間は社会的動物といわれます。他者との交流によっても脳が刺激され、生活の豊かさをもたらします。
認知症予防を通してご家族と会話する、同じ取り組みをする仲間と交流する、また認知症になってしまっていても軽度であれば積極的に地域のイベントに参加したり、重度であっても引きこもることなく、家族とともにどんどん外に出ていきましょう。
6.本人が自ら望んで生活に取り入れられるものを選ぶ。
認知症予防で一番大切なのは、本人がストレスなく予防法を続けられることではないでしょうか。
どれだけ効果があるものでも、本人が嫌がったり、必要以上にお金をかけたりしては、長く続けることは難しく、逆にストレスの原因になるかも知れません。
株や将棋、パチンコや競馬、競輪など、特に認知症予防と銘打っていなくても、本人の趣味で少しでも頭を使い意欲的になれるものなら、それを続けられる環境を整えてあげると良いと思います。
本人が無理なく取り入れることができ、楽しみながら続けられる予防法がよいですね。
7.いつもしている動きに頭を使うことをプラスしてみる
知的作業と運動を組み合わせる活動も認知症予防の効果が期待されています。
例えば、ただ散歩をするだけでなく、知らない街を地図やガイドブックを参照に歩いてみたり、詩や俳句、短歌を作りながら歩くとよいでしょう。
⭐老化と認知症の違いは?
決定的な違いは、忘れてしまったことに対して自覚があるかどうかということです。
忘れてしまったことを覚えているならそれは物忘れで、忘れていたこと、忘れてしまったことそのものを覚えていないようでしたら認知症が疑われます。
加齢とともに記憶力も低下してきますのであまりに頻繁に物忘れがあったりするときには病院で認知症かどうかを調べてもらうとよいでしょう。
⭐まとめ~ちょっとした努力で認知症の予防を~
認知症の予防法には決定的なものが見つかっていません。そもそも認知症の原因もある種のタンパク質が影響しているということがわかっていてもそれがどうして増えてくるのか、というところがわかっていないのです。
ただ、入院生活が長くなってボケて来ちゃった、という話や、退職後生活が一変し、やる気がなくなったり急に記憶力が低下したという話を聞くと認知症は脳内のあるタンパク質が増えた、ということだけでなく環境や生活の習慣も影響しているのではないかと思います。
今の段階で私たちができる認知症予防は、やはり食生活の改善と規則正しい生活、脳を刺激し続ける努力(勉強や趣味など)、適度な運動によって全身状態を良好なものにしておくことではないでしょうか。
家族の認知症には一刻も早く気付けるよう見守っていたいものです。