親のための介護施設探し。親の住み慣れた土地で探す?それとも呼び寄せる?立地条件を考える。
令和元年もあと僅かとなりました。
皆さんは帰省される予定がおありですか?
あなたの帰りを心待ちにしているご両親にとってはきっと子供が帰ってきてくれるだけで親孝行になりますね!
充分に労って差し上げてください。
さて、遠く離れて暮らしていると久しぶりに帰省したときに両親が急に年を取ったなぁと思うことはありませんか?
日々の忙しさになかなかゆっくり話し合いを持つことが出来ないかもしれませんが、光陰矢の如し。話し合いができていないまま介護に伴う選択を迫られると今後の生活が不本意なことになりかねません。
まだ必要ないかな?と思っても親の元気なうちに時間を作って、【もしも介護生活になったらどうしたいのか】ご両親の意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
親子が離れて暮らしていると介護施設を探すときに親の住んでいるところの近くか、子の住んでいるところ近くか、どちらの施設を選ぶべきか迷いますよね。
各々のメリットデメリットを見ていきたいと思います。
⭐親が住み慣れた地域で施設を探す
1.メリット
①環境の変化によるストレスがない
人間誰しも思い出深い土地から離れるのは寂しいものです。住み慣れた地域でも家を出て施設で暮らす、ということはなかなか勇気がいることでしょう。
自宅から施設へと引っ越しをしたとしても住み慣れた地域での生活は環境の変化によるストレスを最小限に抑えることができるのは一番のメリットですね。
②特養老人ホームに優先的に入居できる
有料老人ホームなど他の施設に比べ費用を抑えることができる特養老人ホームの場合、介護者である家族が遠方にいると、入居の優先順位が高まります。
特養老人ホームは原則要介護3~5の方が終身利用されることが多い施設です。
入居金がかからず、自己負担が比較的軽いので入居希望の方の待機が多いのが現状です。
費用を抑えたいならば、親の住んでいる地域の特養老人ホーム入居を考えるのもよいと思います。
③グループホームは住民票のある高齢者のみが入居対象
もしも親が認知症を発症していた場合。
グループホームは、認知症の高齢者に特化した小規模の介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスの1つで認知症の方に合わせた環境が用意され、認知症介護の知識と技術を持ったスタッフが対応します。
グループホームはその施設のある地域に住民票がある方が入居できることになっています。認知症の方は環境の変化にとても弱いとされているのでいつと同じメンバーで生活をするグループホームを利用されることが望ましいのでグループホーム入居を希望される場合は親の住んでいた地域で探した方がスムーズに入居できそうです。
④有料老人ホームは都市部に比べて費用がかからない(子が都市部、親が地方に住んでいる場合を仮定して)
都市部で施設を探すとなると地価の影響でどうしても高額にならざるを得ません。
親が地方に住んでいる場合、その地域で探した方が施設にかかる費用他、引っ越し代など含め総額はかなり抑えることができます。
2.デメリット
①子供が親に会いに行くために交通費がかかる
施設入居の費用を安く抑えても物理的に遠く離れてしまっていると交通費がかかります。
頻繁に通うようになると1ヶ月の施設利用にかかる費用よりも多くのお金が必要になるでしょう。実家も売却している場合は宿泊費もかかります。
親のもとに1回顔を見せに行くためには帰省と変わらない交通費に、余分に宿泊費、そして今まで年に2回だった帰省が数回、もしくはもっと増えるようなイメージです。
②何かあってもすぐにかけつけることができない
親の容態が急変したとき、物理的に遠く離れてしまっているとすぐにかけつけることが難しいでしょう。
高齢者にはどこにいても、ケアする方が近くにいても、転倒や誤飲など様々なトラブルが起こり得ます。
そんな時に一報をもらってもすぐに自分の目で状況を確認しにいくことができないのは歯痒い思いをしてしまうかも知れません。
⭐子の生活している地域で施設を探す
1.メリット
①子供が近くにいてくれる安心感がある
住み慣れた地域を離れ、子供の生活する近くでの施設選びをした場合、何かあったときには駆けつけてくれる、という安心感があるでしょう。
親の住む地域の施設に入ったら頻繁には会えなくても子供の住んでいる場所から遠くないところの施設に入った場合、毎週でも顔を見ることができることは精神的な安定を考えたときに大きなメリットです。
②面会に行くのに交通費がかからない
親の顔を見に行くのに飛行機代や新幹線代などの高額な交通費がかかりません。
子供が通勤の定期を利用できる範囲での施設選びや、住んでいる場所によっては自宅から徒歩圏内の施設を選ぶことも可能です。
③持病の悪化が見込まれる場合
親に持病があって今後持病の悪化が懸念される場合は、将来的に入退院の繰り返しになる可能性もあります。
頻繁に入退院の手続きや付き添いなどが必要になる場合は近くに住んだ方がお世話をしやすいでしょう。
2.デメリット
①環境の変化によるストレスがある
住み慣れた地域から離れることはそれだけで大きなストレスになります。
また、言葉や食べ物の味付けなどが違うことも高齢者にとっては私たち子供世代が思うよりも負担になるようです。
②住民票を移す等諸手続きによって施設への入居がスムーズにできないことがある
子供の住んでいる地域で特養老人ホームやグループホームに入りたい、と行った場合、住民票がすでにその場所にあることが入居の条件となることから、一度子供の家に仮住まいをし、手続きをしてから施設の申し込み、という方が多いようです。
施設の空き状況を見ながらの移動を希望するには準備や親の容態などによってフレキシブルに動くことができないため、簡単ではありません。
③特養老人ホームなどに優先的に入ることができないため、高額な有料老人ホームを選択せざるおえないことが多い
親子が近くに住む場合、特養老人ホームに入るための優先権がないので急を要する場合は有料老人ホームを選択することになります。
都市部の有料老人ホームは高額なので充分な資金があるなら選択肢に入れてもよいと思います。
⭐話し合いの大切さ
①話し合いができない理由
まだ元気な親に、将来の介護や、お葬式、相続などの話を子供から切り出すのは躊躇してしまいますよね。
親を不安な気持ちにさせてしまわないか、また逆に怒らせてしまわないか……そういう理由でなかなか話し合いの場を設けることができない、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でもやはり大切なことなのでまだまだ介護生活になるまで時間がありそうだと思っても積極的に話をしてみてください。
いずれは今は介護する側の子供も、介護される側に回るのです。
みんな通る道だと思って思いやりを持って誠実に話を進めればお互いのためになるのではないかと思います。
②お互いを思いやるがために本当の気持ちがわからないこともある
例えば私がいつか介護される側になったとき。
まだ50代なので現実味がなく感じられるかもしれませんが、とても悩むと思います。
自分のためなら住み慣れた思いでのあるこの家で、この街で最後まで暮らしたい……
でも子供が遠く離れていて私のことを心配し、気を揉むようなら子供に負担をかけたくないので子供の住む地域で暮らした方がよいだろうな……
そして反対に親を介護する側になったことを考えたとき。
少し無理をしても親の気持ちを優先してあげたい、と
今はそう考えます。
お互いを思いやって本当の気持ちを話せないのは後悔することになるかもしれません。
⭐まとめ
大切な人のことだと考えても考えても迷い、決定が難しいこともあります。
調べていると、子供が通いやすい場所を選んだという方の声には
・近くにあるとすぐ行けるので苦にならない。
・何かあった時に近いほうがいいし、まめに訪問するのにも便利さは必要
・家から近く、週2~3回訪問できること。緊急時にすぐに訪問できる
・様子を見に行くのに宿泊をしないでも行けるところ
・頻繁に仕事帰りなどに面会に行くことを考えると、駅から徒歩数分程度で行ける範囲のほうが有難い
・毎日様子を見ていたので、あまり離れたところにお願いしたくない
などがありました。
これらは自分達の通いやすい場所を選んだ子供の意見です。
どの意見も、親の様子を頻繁に見に行きたい、といご家族の気持ちが表れているように思います。
反対に親側の意見としては
・普段の散歩コースの近くに立地する施設に入りたい
・生活の場は馴染みのある土地が一番
・自宅があった場所からそう遠くないところ
・閑静な自然の多い場所が精神面でも安定すると思う
という意見がありました。
これらの意見を見る限りでは親は子供の近くにいたいけれど、環境が変わることは望まない、という印象です。
子供の方は仕事があるとなかなか休みが取れないですし、遠いと交通費がバカにならないから、と
いう現実的な問題を重視してしまいますよね。
可能な限り大切な人が一番良いと思うことを選択してあげるためには、元気なうちに話し合いの場をもうけてお互いの考えを知っておくことが大切だと思います。