親に気持ちよく介護施設に入居してもらう方法とは?説得するために必要なこと。
世間はようやくお正月ムードも明けて落ち着いた日常に戻ってきましたね!
皆様はこの令和になって初めてのお正月はご実家へ帰省されましたか?
私は父の喪が明けて初めてのお正月で、親世代がいなくなるとこうも変わるものかというくらい手抜きしまくりのお節料理作って家族とのんびり過ごしました。
三ヶ日が明けてすぐ大学時代の友人と久しぶりに会ったのですが、50代のおばさんが二人お茶をしながら話すことといえば、正月早々高齢の親の介護や病気の話ばかりで……
帰り際に友人と今度は明るい話をしましょう!と言って別れました(笑)
今回の帰省で親の今後のことを話し合ってくるつもりだった、という友人でしたが、80代のお父様は認知症の症状が進行しているらしいとのこと。
お母様も介護が大変でただただ日々の生活を回しているだけで精一杯で、話し合いらしい話し合いができなかったそうです。
お父様の介護施設入居に関して両親がどう考えているのか、具体的な話を進めていきたかったらしいのですが
ご両親共に何を聞いても
「『何かあったらその時は任せる』というばかりでまったく具体的な話ができないから困っちゃうのよ~」
と言っていました。
この手の話はなかなか切羽詰まらないとどうしても遠ざけたくなってしまうのかも知れませんね。
今回は在宅介護が難しくなり、施設入居をどうしても避けられないと判断したときにどのようにして親を説得して入居まで漕ぎ着ければ良いのかということについてお話をしたいと思います。
⭐ そもそも在宅介護はどこまで可能なのか
そもそも在宅介護がどの段階まで継続できるのでしょうか?
自分の親には可能な限り住み慣れた思い出溢れる家での在宅介護をして最終的には看取りまで、育ててくれた感謝の気持ちを伝えながらお世話をしたいと思いますよね。
でも今の日本では家族の形も一昔前とは様変わりし、多くの女性が社会進出を果たしています。
そういった事情で親と同居をしている方が少ないことからなかなか在宅での介護~看取りまでは難しくなってきているようです。
在宅介護か施設にお願いするか、どちらか判断するポイントは3つあります。
①本人の介護ステージ
在宅介護において、本人の介護ステージは重要です。
要介護4、5の寝たきりの親の世話を家族だけですることは本当に大変です。要支援や要介護1~3くらいまでならなんとか家族だけでも持ちこたえられるかも知れませんが、それでも家族みんなに相当な体力的、精神的な負荷がかかります。
要介護4、5になってくると家族が疲弊してしまって家族各々の生活が回らなくなり、気持ちに余裕がなくなり大切だったはずの親に優しく接してあげることができない、などの問題も出てくることがあるでしょう。
介護認定はかなり厳しい基準があるので見た目、足元もおぼつかないお年寄りでも自立して生活できると見なされれば要支援止まりです。
要支援の判定が出て、すぐに骨折して寝たきりになるというケースもあることから要支援だからまだ安心、ということはありません。
介護ステージは徐々に上がっていくとは限らずある日突然変わることもあります。
要支援が出たらその先にあるものをしっかり見据えて施設入居を考えはじめるとよいと思います。
②認知症の度合い
身体的介護が必要がなくても認知症の場合は家族の手に負えなくなることもあります。
意志疎通が行えないことも多いので、病状が悪化すると以前の親と人格まで変わってしまったかのような様子に家族はショックを受け、大きなストレスを抱えることになります。
認知症の人はいつも同じ環境であることに安心感を憶えるので認知症が進んでからの介護施設への入居は強い不安を抱いてスムーズにいかないので、意志疎通のできるうちに施設入居についての話し合いを始めましょう。
③在宅で世話をする家族の生活形態
介護を手伝える家族の人数とその生活形態は各家庭の事情によって異なりますが、頼りになる人手が多ければ多いほど在宅での介護をするためには都合が良いことは確かです。
それでも要介護4、5くらいで本当に寝たきり、となると24時間のお世話が必要になってきますので、親の介護で十分手の行き届いたお世話をするためには最低でも4人の人間が必要になると思います。
私が若い頃に母を亡くした後に体験した寝たきりの祖母の介護では、孫3人にプラスして夜勤の家政婦さん、当時は社会福祉協議会というところで今のヘルパーさんの先駆けのようなボランティアの方も短時間ですが2人ほど、そして週に2度ほど看護師さんが来てくださって洗髪をしてくれたり、、、と、たくさんの人手がありました。
それにもかかわらず、生死にかかわる病気があるわけでもなく、徐々に体の機能が衰えていく老衰による介護は先が見えず本当に気持ちが重たくつらいものでした。
高齢の親と同居していて介護に協力してくれる家族が複数いる場合は、無理をしすぎない範囲で在宅介護をしながら状況に応じて施設入居ができるよう話し合いをしておきましょう。
ただ限界ギリギリの段階まで放っておかず、早いうちから将来的な施設入居を想定しておくことは必要です。
今は在宅介護が出来ている状態としても、介護者が倒れてしまったり、体調次第では介護を続けることが難しい場合もあるので、訪問介護などの在宅サービスや、デイサービス等を併用し、本人には家族以外の人にも「介護」に慣れてもらうことも大切です。
また、本人が納得しない状態で施設への入居を無理に進めてしまうと、家族に対し「捨てられた」、「だまされた」といった感情を抱き、せっかく良好だった家族の関係が悪化してしまうこともあります。その点も踏まえて色んなケースを想定し準備をしておくと良いでしょう。
⭐入居拒否の理由、本人の意向を確認して施設入居を説得する
老人ホームなどの介護施設への入居を本人が拒んでいる場合、まずその理由をきちんと聞いてみましょう。
①「介護施設」=「姥捨て山」というイメージが強い
老人ホームなど介護施設のイメージが悪く入居したくないと頑なに拒む人もいます。
老人ホームというと『社会から必要のない人間として捨てられた者が行くところ』と思ってしまうことがあるのかもしれません。
いずれは子である私たち世代も年老いて同じような状況になるかもしれないので些細な心配ごとでも親身になって気持ちを聞いてあげましょう。
くれぐれも本人が納得しない状態で介護施設への入居を無理に進めてしまわないようにしてください。家族に対して「捨てられた」、「騙された」といった感情を抱き、家族間の関係が悪化してしまうこともあります。その点も踏まえて色んなケースを想定し準備をしておくと良いでしょう。
②生活に慣れている今の家に居続けたい
まだまだお元気な方や、配偶者に先立たれて間もない方などは家族の思い出の詰まった家を出たくない、という気持ちが強いと思います。
ご本人は施設へ入居することによって精神的なストレスを感じるより、住み慣れた使い勝手のよい自宅の方が安心して暮らせる、と思われるでしょう。
お元気な方はしばらくはそのままで、少しこれからに不安を憶えるような方の場合は段階を踏んで親子で話し合ったり、それとなく子供の側で施設について詳しく調べておいて後々話がスムーズにいくよう準備しておくとよいでしょう。
③生活環境が変わって周りの人と良い関係性が築けるか不安
住み慣れた土地で毎日見かける顔が見えなくなることは思った以上に寂しさをおぼえます。
いつもの見慣れた風景、関わっていた人々、そういったものが一新されるとなれば、誰でも生活環境が変わることは不安なものですのでお年寄りなら尚更、こうした感情を抱くことは当然です。
新しい場所で今さら新しい人との出会いなんか必要ない、と思われる方もいるでしょうし、周りが自分と似たような環境の人ばかりだと希望が見えなくなる人もいるでしょう。
老人ホームなどの介護施設にどういった部分に対して不安をもっているのかを明らかにしておくこと。
場合によっては、ケアマネジャーなど家族以外の第三者へ協力を求め、知らないから不安になっていることがあるとすればそれを解消しておきましょう。
家族だけが第三者に相談して話を聞くだけでは身内としての想いが強すぎて家族側の気持ちの押し付けになってしまったり、よかれと思ってやったことが思わぬ方向へいってしまったり、冷静なやりとりができなくなる可能性もあります。
⭐本人に気持ちよく施設入居することを説得するためのポイント
①順序が大切
いきなり介護施設を見学に連れて行くことには抵抗を持つ方も多いので、パンフレットやホームページなど、具体的にイメージできる資料を見せることからはじめましょう。
実際に足を運んでみるとよく分かるのですが、施設によって雰囲気もかなり違います。
まずは家族が複数個所の施設を見学し、「ここならキレイで雰囲気も良い」、「程よく街中にあり外出にも便利なわりにし静か」、「お父さんの趣味を楽しめる場がある」など、本人に少しでも気に入ってもらえるポイントを見つけましょう。
②介護施設への負のイメージを払拭する
老人ホームなどの介護施設は姨捨山だ、という悪いイメージをお持ちの方には、とにかく暗いイメージを取り除く説明をすることが大切です。『老人ホーム』が時代と共に変わって来ていることを知ることが大切ですね。
一昔前とは異なり、比較的元気なときから入居されている方も多く、有料老人ホームに入っている方で知人に頼まれて以前の勤め先に講演に行く、などといってスーツを着て出かける80代後半のおじいさんもいるという話を聞いたことがあります。
施設内でのイベントやレクリエーション、外出などの自由度が高かったり楽しく過ごすために工夫を凝らす施設が多いということを、伝えてみましょう。
まずは、老人ホームの見学会、試食会やレクリエーションへの体験申し込みをして親子で参加されてみてはいかがでしょうか。
少し慣れてきたらショートステイや体験入居など、施設での生活を実際に肌で感じてもらうと良いですね。
何度か足を運んでいるうちに、雰囲気にも慣れ、顔見知りの入居者やスタッフもできて馴染みやすくなることも期待出来ます。
そうやって何ヵ所か体験してみて自分にあった施設を焦らずに時間をかけて施設を探してみると良いでしょう。
⭐まとめ
一番大切なことは本人の気持ちに寄り添い、理解し、家族の思いだけで行動しないことです。
説得してもなかなか首を縦に振ってくれないと子供の方も焦って強く出てしまうこともあるかもしれませんが、根気強く穏やかな話し合いの場を持てるよう努力しましょう。
お互いに住むところが離れていても、家族を思いやる気持ちに変わりはありません。入居に対して安心してもらうための言葉かけを、意識的にすることを心がけてください。
ホームページのようなイメージがわきやすい情報や資料をもとに、実際に本人・家族が見学、体験することによって総合的に判断することが必要です。
そのために、ケアマネジャーなどの外部の専門家等の協力者としっかり連絡を取りながらサポートしていきましょう。
あくまでも入居されるのはご本人ですから、家族としては冷静な視点で施設入居までの、そしてその後の、できる限り顔を見せに行くなどサポートをして差し上げるとよいと思います。