親が住所地以外の介護施設に入居する時は住民票を移すのか?住所地特例制度についても解説
家族が介護施設に入居する場合、住民票はどのようにすれば良いのでしょう?
現住所と別の地域のグループホームにも入居できるのでしょうか?
必要に迫られて施設入居を考えるときにならないと細かい行政の手続きなどはなかなか見えてきません。
住民票や住所変更をどうするか、ということはあまり知られていませんよね。
今回は施設に入居する際、住民票をどのようにすればのいのかその扱いについて、さらには介護施設への転居の際、条件によっては介護保険などの費用を抑えられる「住所地特例制度」の特徴についてお話していきたいと思います。
⭐介護施設に入居する時…住民票はどうすればいい?
(老人ホームの場合)
原則、住民票は転居先に移す
原則として住民票は居住する場所(老人ホーム他、施設)に住所変更します。
例外として住民票を移さないケースもありますが、それは単身赴任や学生生活でいずれ自宅(本拠地としているところ、実家)に戻る前提のある方や、介護施設でも家族の都合でショートステイの方などです。
市区町村で手続きをしましょう。
住民票の登録地でないと受けられない介護サービスもあるので住民票を移さないとどんなサービスが受けられないか、確認しておくとよいでしょう。
そのため大きな出費になってしまう可能性もあるのでしっかり確認をした方がよいと思います。
住民票を移すときに必要な申請
介護認定があり、転居などで住民票を移す場合は基本的に、転居後の場所に住民票があると、介護サービスを問題なく受けることができます。
ただし住民票を移すときに、一緒に必要な申請があります。
転入出時には「受給資格証明書」が必要になる
受給資格証明書とは、要介護認定・要支援認定を受けている被保険者が現在住んでいるところから、他の市区町村へ転出する際に交付される「要介護認定・要介護支援を受けていた」という証明書です。
転入先の市区町村への転入したその日から14日以内に提出すれば、新たに介護認定の審査、判定をすることなく、認定内容が引き継がれます。
提出の期限である14日を過ぎた場合、再度介護認定の審査、判定をしなおさなければならないのでまた認定が下りるまで約一ヶ月必要となります。そのため注意が必要です。
⭐グループホームと住民票(認知症の方の場合)
グループホームとは
グループホームは認知症ケアに特化した施設です。
専門の介護スタッフのサポートのもと、認知症高齢者が少人数で共同生活を送ることで、認知症の進行緩和を目的としています。認知症の方は環境の変化に弱いと言われているので、できるだけ安心感を与えられるようスタッフや共同生活をおくるメンバーが可能な限り固定することのできるグループホームに入所されることが多くなっています。
他の市町村のグループホームに入居できる?
グループホームの入居には同じ市町村の住民票が必要です。つまり居住している地域と違う自治体の施設には入れない、ということになります。
認知症の方にとって住み慣れた地域のグループホームに入居することが一番安心感を得られると思いますが、ご家族の状況によっては遠方のご家族の側のグループホームに入居しなくてはならない方もいらっしゃるでしょう。
その場合は住民票を移さなければなりません。
遠くに暮らす親を自宅近くのグループホームに入れたい場合
先にも述べましたが今お住まいの市町村を出て、他の市町村のグループホームに入居する際は親の住民票をグループホームの所在している市町村に移すさなければなりません。
自治体によっては、住民票を移してから一定期間が過ぎないとグループホームに入居できない場合があるので
親が認知症になってしまってゆくゆくは面会に行きやすい施設入居を検討している、という場合はその施設や市役所などに早めに問い合わせておいた方が良いでしょう。
⭐住所地特例制度
遠く離れた家族のいる、今居住している地域とは別の地域の老人ホームに引っ越す際、現在お住いの市町村よりも、転居先の方が介護保険などの費用が高くなる場合があります。
例えば地方の山間部にお住まいの方が東京都心などに住むお子さんの自宅から遠くない場所のホームに入居する場合などです。
『別の自治体の介護施設に転居しても、今までと同じ金額で保険の給付を受けたい。』
そういった時に役に立つ制度が住所地特例制度です。
住所地特例制度の仕組み
住所地特例制度とは、老人ホームに転居して別の地域に住民票を移した後も、以前住んでいた市町村に保険料を支払い、介護保険の給付を受けることができる制度です。
介護保険は、住民票がある市町村に保険料を支払い、介護保険給付を受ける仕組みで成り立っています。
しかしその場合、介護施設が多く建てられている市町村の負担が大きくなってしまいます。
住所地特例制度はそういった財政負担を解決するために生まれました。
住所地特例制度のメリット
現在の居住している地域の方が、転居先の市区町村よりも介護保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度の金額がかからない場合は費用を安く抑えることができます。
住所地特例制度のデメリット
転居先の自治体の方が保険の費用負担が軽い場合、この制度を利用するメリットはありません。
また、介護施設入所のために転居する方対象の特例で、子供と一緒に暮らすから、という理由で一般住宅への引っ越しでは制度の対象外となってしまいます。
住所地特例制度の対象は?
住所地特例制度の対象者
↓
・65歳以上の方
・40歳以上65歳未満の医療保険加入者
(要支援・要介護度など介護認定がない自立の方も対象者に含まれます)
住所地特例制度の対象施設
・介護付有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・サービス付き高齢者向け住宅
・特別養護老人ホーム
・養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護療養型医療施設
・ケアハウス
対象施設についの詳細をお知りになりたい方は、各市町村のホームページなどで確認してみてください。
住所地特例制度の手続きの仕方
住所地特例制度が適用される場合、所定の手続きを行います。
手続きに必要なものは
・住所地特例適用届
・転出前の住所が記載されている介護保険被保険者証
の2点です。
市町村によって手続きの方法が異なることがあるので『住所地特例制度』を利用する場合は、市役所の高齢福祉課などの担当窓口や、転居先の施設に必ず相談しましょう。
⭐まとめ
住所は住民票のある場所が基本ですので、そのため、住むところが変わると住所変更をすることが一般的とされています。
住所変更をすることで、転居先のサービスが受けられるメリットがありますが、現在の住所地特有のサービスが受けられなくなるデメリットもあるのでどちらが良いのかよく考えておく必要がありますね。
住所地特例制度に適用される方は、ホームに住所を変更した後、各市町村の担当窓口にその旨提出する必要があります。入居の際には老人ホームの契約担当の方に手続きの方法などを聞いておきましょう。
一度にたくさん難しい説明を聞いても覚えきれないような煩雑な手続きが多いので、地域包括センターの方やケアマネージャーさんに相談しながら少しずつ進めていきましょう。